あの話はどうなった? (4) タクシン橋の謎

タイで以前報じられた疑しげニュースが現在どうなっているか? シリーズの4回目は前回の続きでBTSサパーンタクシン駅があるタクシン橋についてです。

このシリーズの2回目で書いたのですがタクシン橋の「タクシン」はトンブリー王朝のタークシン王の事で、タクシン・チナワット首相ではありません。タイ語の発音が違うようなのですが、Google翻訳に発音させると私には両方とも「タクシーン」と聞こえます(苦笑)

20171123 Thonburi 2

いずれにしても、このブログは地名、寺院名、通り名、駅名・・・などの固有名詞が多く出てくるのですが、カタカナ表記するのにいつも迷ってしまいます。私は在住時を通じてずっとタイ語をネイティブに話す知人が全くいなかったので、毎回カタカナ表記では冷や汗もので書いています。タイ語の読み書きが出来る方からすると、きっと毎回失笑されている事でしょう。ごめんなさい

さて、まずはこのシリーズ今までのエントリーです。
あの話はどうなった? (1) ニュースな私 & BRT
あの話はどうなった? (2) どうするBRT & BTSのあれ
あの話はどうなった? (3) どうするBTS サパーンタクシン駅

BTSサパーンタクシン駅は単線部分に造られ一つしかプラットホームがない。その為に拡張を続けるバンコク首都圏の高速都市鉄道網のボトルネックになっている。そして、そうなった理由はチャオプラヤー川に架かるタクシン橋にある・・・これが今までのストーリーです。

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まるで悪いのはタクシン橋だと言っているようなものですが、この橋は悪いどころか非常に賢い橋なのです・・・

1974年に3億円、1977年に57億円の円借款が使われましたが、外務省資料では日本の企業名がなくてイタリアンタイなどの施工企業名が見られます。着工が1979年で1982年5月が開通だそうです。『チャオプラヤー名橋奇覧(5) タクシン橋』で詳しく書いています。

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タクシン橋は自動車用が上下で2本。そしてその中央に鉄道専用橋梁があるので3本の橋が並んでいます。この中央の橋梁に複線を敷設するには問題が無いのですが、そのスペースに駅まで造ったのが単線になった理由です。

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ここで大きな疑問が生じます。BTSが最初に開業したのは1999年です。その20年前にタクシン橋は着工されています。将来、中央に鉄道専用橋梁を架けて3本平行した橋となる事を想定して・・・

なんでこんな所に駅を造ったのか?

BTSシーロム線1999年初期営業区間で西端がチャオプラヤー川だったのはよく理解できます。誰でもとりあえずここまで開通させて営業しようと考えるでしょう。それでは終着駅をサトーン通り上のどこにするか?

今思えば、何もここだけを単線にして狭い所が好きな猫のように、1982年に開通していたタクシン橋の上下線分離道路の間にギュッと押し込める必要は無かったのに・・・と思うのですが、構造的には不適切ながら営業的には最適の場所だったのでしょう。

チャオプラヤー川とは反対側でチャルンクルン通り側の駅入り口
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タイで最初の舗装道路でニューロードと言われ100年以上前に路面電車も走ったチャルンクルン通りに接し、地元民と観光客両方に重要なチャオプラヤー・エクスプレスとの接続、周辺の憧れの高級ホテルやビジネス客の利用・・・この辺りを語ったらキリがありません。

画像下は2015年撮影でチャオプラヤー・エクスプレス船着場が橋の下の右で、左が渡し舟の船着場です。タクシン橋を歩いて渡るより、渡し船を使って対岸と行き来する人が多いです。

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チャオプラヤー・エクスプレスに関しての一番新しい(5年前ですが)エントリーは『激変のチャオプラヤー・エクスプレス最新事情』で、ここの渡し船に関しては『チャオプラヤー渡し百景3』で書いています。

こんなに便利な駅ですので、駅廃止は受け入れがたいのは理解できます。それでは複線を維持して今の所に一番近く駅を造るとしたらどこになるのでしょう? チャオプラヤー川沿いを離れてサトーン通りを東に行っても、タクシン橋への取付道路(橋へのアプローチ道)が高速道路下まであるので、結局スラサック駅の少し西側ぐらいか駅のスペースがありません。

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結局、今の所に強引に駅を造ったのも理解できます。それは当時終着駅だったから仕方なしに当面は良しとしたのでしょうが、それも2013年バーンワー駅開業まで通じた事で、今となっては一刻も早い対策が必要です。

それでは、次の謎です。

BTSを造るずっと前になぜ3本平行する橋を造ったのか?

この場合「橋を架けた」を意識して「橋を造った」としていますが、外側2本が自動車用橋梁で中央が鉄道用橋梁のように3本平行する橋をなぜ造ったのか?です。 正確に言えば、設計上3本平行して架ける事を想定して、最初は中央部を空けて両側2本の橋を最初に架けたのでしょう。

実は、チャオプラヤー川に架かる橋で3本平行しているのはタクシン橋以外にもすぐ近くにあって(画像下)、その中央部は床版のまま未舗装(あるいは未敷設)で放置されています。それが何か?長く私の頭の中で解決できない疑問となっていました・・・

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バンコクで最初のBTSが開業した1999年の20年前、1979年になぜ3本平行する事を想定した橋を着工したのでしょう? この答えを探してバンコク都庁、バンコク大量輸送システム社(BTSC)などで公開されている資料を何日も探しまくりました。

ここでちょっと休憩して別な話を・・・

ところで、バンコクのような既存の大都市の中に鉄道を新たに走らせる場合、地下鉄でなければBTS(あるいはMRT)のような高架型鉄道を幹線街路の中央に走らせる事になります(画像下)。そこで問題の一つとなるのがチャオプラヤー川のような大きな川を渡る方法です。

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幹線街路の上に高架を建設したように車両走行用橋梁の上に鉄道を通すのはまず無理ですので、すぐ近くに鉄道専用橋を造れれば良いのですが・・・すでに開発された都心部だと幹線街路沿いのビルなどの構造物が障害となってかなり厄介な事なのです。

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シーロム線のようにサトーン通りの中央を通り、画像上の様にそのまままっすぐタクシン橋の真ん中でチャオプラヤー川を渡りクルントンブリー通りの中央を通る・・・なんて、まず無いケースかと思います。

それではバンコク首都圏の都市型高架鉄道でチャオプラヤー川を渡る他の路線はどうなっているのでしょうか? 

まずMRTブルーラインはチャオプラヤー川があるバンポー駅とバンオー駅間は幹線街路を離れて鉄道専用橋でチャオプラヤー川を渡ります。都心部を離れているので、幹線街路上を離れても十分なスペースを取れたわけです。

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上も下も2018年撮影です
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もう一本MRTパープルラインもノンタブリー県でチャオプラヤー川を渡りますが、十分すぎるスペースがあるので、一般橋梁のプラナンクラオ橋のすぐ横に鉄道専用橋を架けています。『MRTパープル徹底検証7 全路線全駅紹介(4)

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他にもタイ国鉄の橋がチャオプラヤー川を渡っていますが、当然全て鉄道専用橋ですので今回の都市型高架鉄道とは異なります。一応『チャオプラヤー名橋奇覧(11) ラマ7世橋』で触れています。

2016年に撮ったタイ国鉄ライトレッドラインとその奥が在来線です
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このように都市型高架鉄道を通した幹線道路のすぐ横に十分なスペースがあって鉄道専用橋を架けられれば良いのですが、BTSシーロム線のようにサトーン通り上からチャオプラヤー川を渡りクルントンブリー通り上に至るに、あらたに鉄道専用橋を架けるにはすでに開発された地区なのでスペースが全く無かったのです。

「あらたに鉄道専用橋を架ける」スペースは無かったのに、サトーン通りがチャオプラヤー川に接するところにはすでに3本平行して架ける事を想定したタクシン橋があって、しかも中央部がやがて来るだろう都市型鉄道を通すかのように空いていたのです。BTSが開業する20年以上前に着工されたタクシン橋に・・・

長くなったので次回に続きますが、いよいよタクシン橋、いやバンコク首都圏の都市型鉄道建設の核心に迫ります。そこには日本人も関係しています。 

しかし、橋にバスから鉄道と写真をどんだけたくさん撮った事か・・・(笑)

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2023.12.27 | コメント(0) | バンコク街歩き

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ALSTER(アルスター) 東京深川出身。アジア・ヨーロッパ・アメリカなど海外在住28年超。55歳で日本企業を早期定年退職後アメリカで現地採用され2014年末退職。その後タイでロングステイし2018年帰国。90年代前半からパソコン通信・PC改造・ホームページ運用を行い世界中からアクセス。そんな趣味から海外アクセス術、旅先通信本などの出版にも関わる。ヨーロッパ、北米、東南アジアの国々はほとんど訪れ、旅行にお酒・食べ歩き大好き人間です。

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