あの話はどうなった (8)BTS 謎の駅の正体 2 サトーン地区

タイで以前報じられた疑しげニュースが現在どうなっているか? そのニュース等から疑問や謎に迫ります。シリーズの8回目は前回「BTS 謎の駅の正体1」の続きです。

さて、このところタイトルに「BTS ○×△・・・」が多くなっていますが、タイトルを大げさにしたり、勘違いさせたり、思わせぶりに書くことで、アクセスさせるありがちな(悪質)ブログのようで気になっています(笑)

今の時代はBTSではなく「スカイトレインBTS」の方が良いのかも知れないと思いながらも、私は「スカイトレイン」を使った事はありません。スカイトレイは前回書いたカナダのラヴァリンLavalin社から来ています。

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正式名称は英語だと「Elevated Train in Commemoration of H.M the King's 6th Cycle Birthday」 でちゃんと画像上の様に記されています(5年前のモーチット駅の終端なので今は無いかも)。

和訳すると「国王陛下生誕72歳記念高架鉄道」でしょうか。英語の6th Cycleは干支の六回りの事で72歳ですね。ただ最初から誰もそう呼ばない・・・

もちろんBTSとはBangkok Mass Transit System Public Company Limitedの事で、私はBTSを運営管理会社と思っています。このシリーズ1回目に登場したBRTもBTSが運航管理しています。

また、5年前のタイ在住時ですが、タイの方々はMRTでもBTSと呼ぶぐらいで、バスやソンテウで「MRTの駅を通りますか?」と聞いても「何それ?」って感じで、「BTSです」と言うと通じたものです。今はどうなっているのでしょうか?

話を戻してBTS・・・Bangtan Sonyeondanと勘違いしてアクセスされた方がいれば、本当にごめんなさい。私は70歳になりましたが、BTSもソロの曲もよく聴きますし、世界での活躍を大したものだと感心をもしています。最近はNewJeansの方が好みですが・・・

さて、まずはこのシリーズ今までのエントリーです。
(1) ニュースな私 & BRT
(2) どうするBRT & BTSのあれ
(3) どうするBTS サパーンタクシン駅
(4) タクシン橋の謎
(5) 45年前のマスタープラン
(6) BTS 謎の駅で不正料金
(7) BTS 謎の駅の正体1

なぜ開業後20年経ってセントルイス駅建設?

前回からの続きです。シーロム線スックサー・ウィッタヤー駅(駅番号S4)はBTS開業1999年以来22年間、路線図上や料金表に記されただけの実体のない駅でした。

それが2021年に駅名を改めセントルイス駅(S4)として開業。そこには駅直結になったのAIAサトーンタワーを持つAIAグループの費用半分負担契約が駅建設の推進力となった事でしょう。

AIAサイトから。駅直結ではなくAIA入口が駅構内にあるようです。
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AIAサトーンタワー周辺はセントルイス病院、聖霊礼拝堂、セントルイス教会、外資系企業の様々なオフィスビルがあり、この地区がビジネス地区として可能性が高いのは間違いなく、多くのプロジェクトも存在しています。バンコクの中でも経済が活性化している地域でもあると思います。

AIAサイトから。まだ駅が出来てないですねぇ~
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BTSはこの駅の建設により、1日当たりの利用者数は約9,500~12,000人増加し、その結果、年間約9,400万バーツの追加運賃収入を得ることになるとしています。

私はセントルイス駅を造ったから新しく利用者が増えるのではなく、500mと近い両隣駅チョンノンシー駅とスラサック駅の利用者がその分減るのが当面かと思いますが、そんな事にBTSは触れていません。

BTSの乗客数が(私がよく参考にする)Open Government Data of Thailand にあるのですが、2022年で約60万人/日でした。コロナ渦で微妙ですが、後に1日の乗車数が100万人を超えたニュースを記憶しているので、そんなものかと思います。

2022年のBTS駅数は60駅前後だったと思うので、単純計算で一駅1万人。そんな計算で出されたこの駅の利用者予測値に私は思えます。(現在は全く違う数字でしょうが)

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ちなみに渋谷・横浜間を走る東急電鉄の東横線2022年利用者数が1日100万人(1,024,382人)で、この年で言えばBTS全体と東横線がほぼ同じ利用客。そして東横線で利用客が一番少ない駅が多摩川駅で1日1万人ですので、セントルイス駅の目論見と同じになります。多摩川駅、昔は多摩川園駅で駅前に遊園地があり、長い滑り台やお化け屋敷があって・・・話を戻しましょう(汗)

うーん、ハッキリ言えよ!と怒られそうですが・・・セントルイス駅を造る理由が本当にあったのか疑問を感じてならないと言う事です。そして、AIAグループの建設費用半分負担は本当に渡りに船だったと思います。

この見方はBTS側に関してですが、都市計画としては将来性はたっぷりだし、セントルイス駅すぐ隣で動き出したチョンノンシー運河公園開発プロジェクト(画像下)も無関係とは言えないでしょう。このプロジェクトは別に書くつもりなので、これ以上話が脱線するのを止めましょう(笑)

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BTS側には20年間「謎の駅」だったS4を実体化する大きな理由は無かったものの、都心部サトーン地区の将来性から両隣駅(特にチョンノンシー駅)と合わせて利用者増をかなり見込んでいるのでしょう。

そこにAIAグループからの費用負担でとんとん拍子で駅が出来た・・・そんな話に私には思えます。 AIAグループもこの地区に投資する価値が大いにあると見込んだはずです。

それでは、1999年開業時には駅を造る計画はあったものの20年間も造らず、今になってセントルイス駅を造り500m間隔で3つの駅を並べるサトーン地区はどんな所なのでしょう? このブログらしく歴史から深堀します。

サトーン通りと運河

話がどんどん広がるのを注意して書きますが、都心部でビジネスの中心の一つとして大きな存在のサトーン地区は大変興味深いエリアでもあるのです。

20年近く前に東西に走るサトーン通りを初めて見た時、私はなぜ道路中央に運河(小さなどぶ川に見えましたが)があるのか?と興味を覚えました。

2015年チョンノンシーの交差点から東側を撮りました
20240128BTS3.jpg

チョンノンシーの交差点から西側はチャオプラヤー川に繋がりますが、運河上はBTSが走っています。BTS建設時はこの運河がサトーン通りの中央にあったので、さぞ工事がしやすかった地区かと想像できます。

画像下はまだBTSがない(しかしタクシン橋は完成していた)時のサトーン通りで、サトーン運河がチャオプラヤー川に繋がっているのが見えます。

20240114bridge1.jpg

このサトーン運河がなぜ道路中央にあるのか調べた事があるのですが、起源はラマ5世(在位1868年 - 1910年)統治下に当時盛んだった米貿易の物流ルートとしてチャオプラヤー川とファランポーン運河(今のラマ4世通り)を結ぶ為にこの運河を掘ったそうです。

ファランポーン運河って今もクロントーイ市場からプラカノン運河まで繋がる「バンコクで一番臭い運河」(個人の意見です)ですが、ここを通るたびに私はなぜファランポーンなのか?って不思議に思ったものです(画像下はストリートビューから)。だってワット・ファランポーンは西に5kmぐらい離れていますから。

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調べて地図を見たらすぐ解りました。プラカノン運河から西に伸びて今のファランポーン駅近くでパドゥン・クルンカセーム運河に繋がっていたのがファランポーン運河で、現在のラマ4世通りはその運河の大部分を埋めて造られたのです。

19世紀半ばに貿易が盛んになるとチャオプラヤー川を貿易船が遡るのが大変だったので、今のバンコク港あたりに荷揚し、そこからファランポーン運河を使ってバンコク中心部へ荷を運んだそうです。

また話が脱線しました(汗) 話をサトーン運河に戻しましょう。

東端でファランポーン運河に接したサトーン運河は西端でチャオプラヤー川に繋がるとどの資料にも書いてあるのですが、画像下の様に当初はチャオプラヤー川とは繋げてなかったようで、バンコクで最初に西洋人が住みだしたチャルンクルン通りと接して終わっています。

20240131map.jpg

上の地図は1887年(推定)とされているのですが、ちょうど旧称ザ・オリエンタル・バンコクが初の西洋ホテルとしてオープンした年です。残念ながらチャオプラヤー川は範囲外なのですが、地図の左上隅あたりで、この周辺は各国大使館や貿易商が集中していた時代かと思います。

ここで注目したいのはチャルンクルン通りを離れて東に向かうと、農地が広がる中でサトーン運河(道路)沿いにぼちぼちと広い土地が確保されだしているように私には見えます。

要は、サトーン運河はファランポーン運河と繋がる事で当時のビジネス(貿易)に密接に関係し、またチャルンクルン通り沿いとは違い広い土地も提供できたのです。昔も今も(特に西洋人の)ビジネスに大きなチャンスを与えた土地に思えます。

20240128BTS4.jpg

画像上は1946年とされています。日本だと第二次世界大戦終戦翌年です。サトーン運河(あるいはサトーン通り)の両側には将来の発展を予想するに十分な土地(農地も多くあるようです)がまだ広がっています。

さて、話を戻して・・・運河を掘った土を使って運河の両側に道路を作ったので、本来は北側がサートン・ヌアで南側がサートン・タイと別な道路名を持ちます。

やがてサトーン通りが例のタクシン橋でトンブリー側と繋がり交通量が増すと、道路を広げる為に運河を狭くしたので私の様に道路の中央にどぶ川があると見えてしまうわけです(笑)

20240128BTS5.jpg

今は高層ビルが並び欧米系企業と大使館も多くあるサトーン通り、その上を高架鉄道が走り至近距離で駅も並ぶバンコクでも有数のビジネス街。それは140年以上前、ここに運河が掘られた時から時代に合わせて変わり続けた結果なのでしょう。

そんな変化を絶やさない地が、謎の駅をセントルイス駅として開業させたのだと思います。

最後に、このシリーズを書き始めた時に戻ると、BRTの起点駅が(セントルイス駅すぐ横の)チョンノンシーの交差点です。そして都心に残った単線区間のBTSサパーンタクシン駅、その理由となった3本平行したタクシン橋・・・と全てがこの(今はどぶ川に見える)サトーン運河に繋がる事に気付きました。

街歩きって本当に面白いですね。次回はもう一つのBTS謎の駅に関してです。

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2024.02.02 | コメント(0) | バンコク街歩き

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ALSTER

Author:ALSTER
 
ALSTER(アルスター) 東京深川出身。アジア・ヨーロッパ・アメリカなど海外在住28年超。55歳で日本企業を早期定年退職後アメリカで現地採用され2014年末退職。その後タイでロングステイし2018年帰国。90年代前半からパソコン通信・PC改造・ホームページ運用を行い世界中からアクセス。そんな趣味から海外アクセス術、旅先通信本などの出版にも関わる。ヨーロッパ、北米、東南アジアの国々はほとんど訪れ、旅行にお酒・食べ歩き大好き人間です。

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